テスリックスロゴ

     
   『テスリックス』特許明細  

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平10−18542
(43)【公開日】平成10年(1998)1月20日
(54)【発明の名称】自在手摺り
(51)【国際特許分類第6版】E04F 11/18 A47K 4/00 17/02
【FI】E04F 11/18 A47K 4/00 17/02 A
【請求項の数】4
【出願形態】FD
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平8−195654
(22)【出願日】平成8年(1996)7月4日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文


(57)【要約】
【課題】 老人あるいは身障者等の手摺り利用者が、体勢を崩しても安心して利用でき、かつ美観的にも良好な自在手摺りを提供する。
【解決手段】 表裏面を貫通する複数個の開口を備え、該各開口を形成する周縁枠を握り部とした手摺り本体と、該手摺り本体を壁面との間に空間をもって取り付けるための手摺り取付部を備えた手段を有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】 表裏面を貫通する複数個の開口を備え、該各開口を形成する周縁枠を握り部とした手摺り本体と、該手摺り本体を壁面との間に空間をもって取り付けるための手摺り取付部を備えてなることを特徴とする自在手摺り。
【請求項2】 前記握り部が、格子状または千鳥状に形成されている請求項1に記載の自在手摺り。
【請求項3】 前記握り部に把手若しくは棒状手摺りを着脱自在に取り付けてなる請求項1に記載の自在手摺り。
【請求項4】 前記手摺り本体が可動自在である請求項1〜3のいずれかに記載の自在手摺り。


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自在手摺りに係り、より詳細には、身長、運動能力、その他体格の異なる者でも利用でき、特に、老人や身体障害者の使用に便利な自在手摺りに関する。
【0002】
【従来の技術】図5(a)(b)に、従来の手摺りを示す。この手摺り51は、歩行者や設備利用者の介護設備の一つであって、通常、手摺り本体52が、強度を有するステンレス製等の棒材若しくはパイプからなり、棒材若しくはパイプの両端に手摺り取付部53を設け、この手摺り取付部53を所定の壁面54に固定できる構造からなる。そして、例えば、浴室においては、その介護設備として、種々の向きに取り付けられている。図5(b)の場合、この手摺り51が浴槽55の上方の壁面56に、浴槽55に沿って水平方向、垂直方向に取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した構造の手摺りの場合、次のような課題がある。すなわち、■ 手摺りは、固定構造であるため、一旦取り付けると、移動することができない。
■ 手摺りの取り付けは、通常、老人あるいは身障者等の手摺り利用者の体型に応じて介護し易い個所に設計設置されているが、これらの利用者の体型には、大きなバラツキがあるため、同一個所に、複数個の手摺りが必要となる。
■ そして、複数個の手摺りを近接位置に取り付けた場合、あるいは向きの異なる手すりを取り付けた場合、美観的にも不格好になる。
■ また、老人や身障者の場合、手摺りを利用している際、その体勢が保持できなくなることが多くあり、十分な機能を期待できない。等の課題がある。
【0004】本発明は、以上のような課題に対処して創作したものであって、その目的とする処は、老人あるいは身障者等の手摺り利用者が、体勢を崩しても安心して利用でき、かつ美観的にも良好な自在手摺りを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そして、上記課題を解決するための手段としての本発明の請求項1の自在手摺りは、表裏面を貫通する複数個の開口を備え、該各開口を形成する周縁枠を握り部とした手摺り本体と、該手摺り本体を壁面との間に空間をもって取り付けるための手摺り取付部を備えてなることを特徴とする。
【0006】また、請求項2の自在手摺りは、前記請求項1の自在手摺りにおいて、前記握り部が、格子状または千鳥状に形成されていることを特徴とする。また請求項3の自在手摺りは、前記請求項1の自在手摺りにおいて、前記握り部に把手若しくは棒状手摺りを着脱自在に取り付けてなることを特徴とする。請求項4の自在手摺りは、前記請求項1〜3のいずれかの手摺りにおいて、前記手摺り本体が可動自在であることを特徴とする。
【0007】ここで、前記手摺り本体の握り部を形成する開口は、少なくとも、手摺り利用者の手が挿入でき、かつ該握り部を握ることができる程度大きさの開口とすることが好ましい。また該手摺り本体は、一般的には、鋳型成形、あるいは棒材等を交差溶着して成形し、複数個の開口を有するパネル状とした構成からなる。そして、その材質としては、耐水性、耐候性、強度性を有するもの、例えば、ステンレス製、プラスチック製、木製、および複合素材製のものを使用することが好ましい。
【0008】本発明の自在手摺りは、従来の手摺りと同様に、浴室、トイレ、玄関、廊下、あるいは階段の側壁面に取り付けることができる。そして、手摺り利用者は、歩行等する際、この手摺りをもって移動等するが、該手摺り本体が、単なる棒体ではなく、複数個の開口を備え、該開口の周縁枠部分を握り部としているため、立体的に掴むことができ、歩行の際の体勢を調整できる。
【0009】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1の自在手摺りによれば、手摺り本体を、表裏面を貫通する複数個の開口を備え、該各開口を形成する周縁枠を握り部としているので、老人や身障者等の手摺り利用者の体型等に対応して、複数個の手摺りを設ける必要がなく、かつ握り部を立体的に掴むことができるため、老人や身障者等の手摺り利用者に優しい介護設備を提供できるという効果を有する。
【0010】請求項2の自在手摺りによれば、手摺り本体の握り部が、格子状または千鳥状に形成されているので、老人や身障者等の手摺り利用者にとって握り易く、かつ取り扱いやすいという効果を有する。また請求項3の自在手摺りによれば、この手摺り本体に、該手摺り本体を取付け用ベースとして把手や棒状手摺りを取り付ける構成であるので、該把手や棒状手摺りの取付け個所、向きを任意に変更することができ、また老人や身障者等の手摺り利用者にとって、手摺り本体と、これに取り付けている把手や棒状手摺りを手摺りとして使用できるので、老人や身障者等の手摺り利用者により優しい介護設備を提供できるという効果を有する。更に、請求項4の自在手摺りによれば、手摺り本体部を自由に移動あるいは回動できるので、該手摺りの取付け状態を任意に変更できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した好ましい実施の形態について説明する。ここに、図1〜図5は、本発明の実施形態を示し、図1(a)(b)(c)は自在手摺りの斜視図、図2は自在手摺りの使用状態の説明図、図3は自在手摺りの浴室での使用状態の説明図、図4は棒状手摺りを取り付けた場合の説明図である。
【0012】本実施形態の自在手摺り1は、手摺り本体部2と手摺り取付部3の2つの部分を有し、手摺り本体部2は、金属製パネル体からなり、この金属製パネル体には表裏面を貫通する複数個の開口4が形成してある。そして、開口4の周縁枠5が握り部6を形成する。ここで、金属製パネル体3に形成されている握り部6は、図1(a)(b)(c)に示すように、格子模様状(マトリックス状)、千鳥模様状、あるいは連続する菱形模様状に形成してある。しかし、手摺り使用者にとって握り易い形状であれば、他の形状であってもことは当然である。一般的には、格子模様(マトリックス模様)状に形成している。そして、握り部6を形成する周縁枠5は、その角部5aが面取り(R加工、C加工)してあり、握り易くしていて、交差部分6aが若干広幅となっていて、この中央部分に手摺り取付部3に形成されている螺子挿入孔7と連通する螺子固定用孔8が設けてある。
【0013】手摺り本体部2を形成する金属製パネル体3は、鋳物、あるいはアルマイト、プラスチック、木、複合材処理したアルミニウム等を用いている。また、この手摺り本体部2は、棒材、あるいはパイプを溶接等によって連結して形成することもある。そして、厚みは、10mm以上、握り部6の幅は、50mm以上程度が好ましい強度を保つ。
【0014】また、手摺り本体部2の交差部分6a(本実施形態では、中央の4個所の交差部分)の裏面側には、手摺り取付部3が設けてある。手摺り取付部3は、手摺り1を所定の個所に、手摺り本体部2を壁面9との間に空間をもって取り付けることができる形態からなり、内部に螺子挿入孔7を有する。
【0015】本実施形態の自在手摺り1は、図3に示すように、例えば、浴室に設置する場合は、浴槽10の上方壁面10a、洗い場11の上方壁面11aに、螺子固定用孔8と螺子挿入孔7に螺子を挿入し、取付け壁面に螺子止め固定することで設置できる。また、階段等に設置する場合は、階段の側壁面に固定設置することで、浴室に設置する場合と同様にして設置できる。また、この自在手摺り1は、壁面に沿って左右方向、あるいは上下方向に複数個連続して設置することによって、手摺り使用者の便に供することができる。
【0016】そして、この自在手摺り1は、手摺り使用者が、従来の手摺りと同様に、手摺り本体部2の握り部6を掴むことによって、介護設備として使用できる。すなわち、従来の手摺りと異なり、握り部6が一つのパネル体に左右方向あるいは上下方向に複数個あるので、歩行あるいは立ち上がりをスムーズに行える。仮に、従来の手摺りでもって、本実施形態の自在手摺り1と同様の機能をさせるためには、少なくとも、複数個の棒状手摺りを複数個、異なる向き(水平方向、垂直方向、斜め方向)に設置する必要があり、しかも、体型の異なる手摺り使用者に対応することが難しい。これに対して、本実施形態の場合、これらの機能を一つのパネル体でもって得ることができる。
【0017】また、本実施形態の自在手摺り1を手摺り取付けベースとして用いることができる。すなわち、図4に示すように、この自在手摺り1の手摺り本体部2の周縁部5に他の、例えば、棒状その他の手摺り12を取り付けることもできる。この形態の場合は、手摺り本体部2に手摺り12を取付けるための螺子固定用孔8を複数個所に設けることによって、種々の方向を向いた手摺り12を着脱自在に設置することができる。そして、この形態にあっては、手摺り本体部2の握り部6と、新たに取り付けた手摺り12とを併用して使用でき、使用者の便をいっそう向上させることができる。
【0018】また、本実施形態の自在手摺りは、左右動、上下動あるいは回動自在とすることが好ましい。すなわち、自在手摺りを左右動させる形態としては、壁面に蟻溝状のレールを取り付けると共に、該蟻溝状レールに手摺り本体部の手摺り取付部を滑動あるいは摺動自在に嵌合する形態が好ましい。この場合、手摺り取付部の蟻溝状レール嵌合部分は、脱落しないように該蟻溝に完全に嵌合させることが肝要である。また、自在手摺りを回動させる形態としては、壁面と手摺り取付部とをロータリージョイントを介して連結する形態とすることが好ましい。なお、これらの形態において,任意の位置で左右動あるいは回動を停止、固定できる機構を取り付けることが必要である。
【0019】なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で変形実施できる構成を含むことは当然である。例えば、手摺り本体部2の形状は、上述したように四角形に限られるものでなく、三角形その他の形状としてもよい。また、手摺り本体部2に取り付ける手摺り12としては、棒状の手摺りの他に、把手であってもよい。


【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す自在手摺りの斜視図である。
【図2】自在手摺りの使用状態の説明図である。
【図3】自在手摺りの浴室での使用状態の説明図である。
【図4】図2の手摺り本体部に棒状手摺りを取り付けた場合の説明図である。
【図5】従来の手摺りの斜視図と、使用状態の説明図である。
【符号の説明】
1・・・自在手摺り、2・・・手摺り本体部、3・・・手摺り取付部、4・・・開口、5・・・周縁枠、5a・・・周縁部の角部、6・・・握り部、6a・・・交差部分、7・・・螺子挿入孔、8・・・螺子固定用孔、9・・・壁面、10・・・浴槽、10a・・・上方壁面、11・・・流し場、11a・・・上方壁面、12・・・手摺り(棒状)

【図1】

イメージ ID=000003
【図2】

イメージ ID=000004
【図3】

イメージ ID=000005
【図4】

イメージ ID=000006
【図5】

イメージ ID=000007

 


Back
Top Page

* 『遊と理』は松屋産業株式会社の登録商標です。
COPYRIGHT(C)2005 MCC. All right reserved. 
松屋産業株式会社 i@028.co.jp